引越し先の部屋 -PART 2-

先日紹介したオレの住まい(※「引越し先の部屋 -PART 1-」参照)。 「なにか」はオレの部屋には入ってきていないようだ。


少なくともまだ
寝ていると枕元におばあちゃんが座っている、とか
窓から軍人の格好をした男がのぞいている、とか
押入れを開けたら小さな女の子がこっちをみていた、とか


そんなことは、ない。
あったかもしれないが、見えていない。だからそれでいい。


それでいいと、思っていたのに。 


新居に住まい、数週間立った頃、会社の先輩が家に遊びに来た。オレの病状を心配してくれて、わざわざ会社の帰り、わが家まで出向いてくださったのだ。それ自体はとても嬉しいことなのだが、ただオレはこの先輩が来る、という事に関して、あることが気になっていた。 


この先輩、霊感が強いのである。 


霊の存在を信じる、信じないは人の自由だ。「見たことがないものは信じない」、という人の言い分もよく分かる。オレもつい最近までは、同じことをいっていた。この先輩に知り合うまでは。




いつだったかある日、この先輩と道を歩いていると、いきなり先輩は会話をさえぎって、


「ここ、交通事故多いのかな?」 


などと言い放った。


「え?いや、わかんないっすけど、、、確かに急なカーブだし、坂になってるから見通し悪そうな道ですが、、、どうしたんですか急に?」


「そこに3人いる」 








「・・・!!?」 




補足するが、先輩は普段、嘘をつくような人ではないし、またこういった感じのジョークをいう人でもない。先輩は、


「いこう。目、合わせちゃダメだよ」


と小声でオレに言った後、突然早足になりだした。


いやオレ、誰も、何も見えないんですけど。


ある程度そのカーブを過ぎてからやっと一息ついて先輩を見ると、顔面蒼白、憔悴しきっている。これがもし演技だとするならばアカデミー・アワードものである。その後入ったレストランでもしばらくはぐったりとして、「疲れた」と、口数が少なかった。
この先輩はその後も時折、しかもそういうことを忘れた頃に


「あそこに誰かいる」


と口走る。そして毎回どう見ても嘘をついているようには思えない態度なのだ。本人曰く、見えるものは見えてしまうので、どうしようもないらしい。さすがにオレも半信半疑とはいえ、想像するとなんだか怖くなってしまうので


「わかりました、いるのはわかりましたから、いてもオレの前では報告しないでください、マジで。」


とお願いしていた、、、 

と長い前フリになってしまったが、そんな先輩が、ウチに来る。


表札の両隣にお札のついたこの家に。


オレはもう暗くなった夜道、駅まで先輩を迎えにいき、自宅まで案内する際に、


「あの、先輩、人生には知らない方がシアワセってこともたくさんあるんです。本当に何も言わないでくださいね。見えても、見えなくても。“見えた”って素振りも見せないでくださいね。」 


と再三念を押した。先輩は「わかった、わかった」といっていたのだが、うちのアパートに入る直前で 




「うわっ!」 








だからやめろよそういうの。 




「ごめん、なんか物音がしただけ」 


先輩は笑っていたが、失礼ながら“帰ってくださいますか?”という言葉が頭をよぎる。 そして、問題の部屋の前に着いた。 オレの家の表札の隣りに張ってあるお札を見るなり、 










「ああ、これは明らかにソレ系のお札だよね」(ドーーーーーーン)





「先輩!そういうこと言わないでっていったじゃないですか!」 


「気にしないんだったらいいんじゃない?うーん、この家はね、部屋の四隅に塩を盛っておくことをオススメするよ。 でも、やっぱり気にしないんだったらいいんじゃないかな?」 








んなこといわれたら気にするわー! 








ちなみにその日、その先輩から聞いた聞かされた話。


「mucho君、あのねー、霊感って、全くない人でも、 霊感ある人の側にずっといたりすると、だんだん強くなっていくらしいよ」 












先輩帰れぇぇぇぇ!(心の叫び)