元プリンタ販売員が教える、プリンタの選び方(2017年冬-2018年春版)

この記事の対象:

  • 年賀状を自宅で印刷したい人
  • 最近、プリンタの調子が悪い人
  • 今年のプリンタの動向が知りたい人

以前プリンタを販売していた経験がありまして、その際に相当プリンタについて詳しくなったので、せっかくなので記事として知識をまとめておきます。

とはいえ、この選び方には絶対的な正解があるわけではなく、僕が得た情報を個人的にまとめたものですのであくまでも参考としてご覧ください。

シンプル、安いだけではダメ

まず、非常に良くあるお客様の第一声。

余計な機能は要らない、印刷さえできればいい、一番安いの

これ、お客様はめちゃくちゃよく言います。
でも「安い」というのはそれだけの理由があるというのは世の常。

ぱっと見が安くても、実は高いことも

たとえばこのモデル。
多分家電店行けば必ず置いてあるCanon MG3630、これは実売価格5000円程度という超激安プリンタです。

このプリンタは、実は「インク一体型プリンタ」なのです。

なので、もしも赤のインクがなくなったら、青や黄色のインクが残っていても全部取り替えないといけないのです。

プリンタはインクが高い、というのはもはや常識となりましたが、このモデルは完全に「インクで儲ける」タイプのモデルですね。

プリンタの寿命は一般的に4〜5年と言われているので、それだけ長く使うのであればこれはむしろコストが高くなります。

プリンタを選ぶ時は「独立インク」、これは押さえておきましょう。

余計な機能は要らない?とりあえず液晶パネルだけは必須!

また、余計な機能は要らない、と言いますが、機能は必要だからついている、というものもあります。きちんと吟味しないと、あとでストレスの元となります。

僕がとにかく必要!と言っているのは「液晶パネル」。先ほどのMG3630なんかは液晶パネルがないのですが、これがないと「プリンタに不具合が起こった時」に非常に困ります。

こうやって最新のファームウェアの情報なんかも教えてくれます。

液晶パネルがあると、そこに文字が表示され「紙詰まりが起こっています」とか「PCと接続されていません」とかいろいろ教えてくれるのですが、パネルがないと「ランプの点滅回数」でその状況を伝えることになるのです。

そんなのいちいち覚えてられないので、いちいち説明書を取り出して確認しなくてはいけません。これは相当なストレス…!

このライトが点滅したりします。設定の時とか、本当にわかりにくいです…

「プリンタのエラーはPCに接続してPCで見ればわかるからいい」って人もいますが、PCとの接続不良を起こしたら結局説明書を探すことになりますからね…

なんでそこまでわかるかって?僕、実際これ持ってましたから。

お判り頂けましたか?
「余計な機能がなくて、安いの」
だけで選ぶのは、必ずしも良いことではありません。

この前提を元に、お話を進めます。

プリンタ大手3社比較

家庭用プリンタのトップ2はCanonEpsonですね。続いてBrotherやHPがあります。

ただHPに関しては日本の家庭用プリンタシェア獲得にそこまで力を入れておらず、日本ではHPファンしか買わない、という現状があるので、今回は省きます。

そして各社いろーーーーんなモデルがあり、それぞれ用途が違うので「なにが良い!」というのは一概に言えません。

そこで今回は、冬ということもありますし

「年賀状をさすがにそろそろ準備しないと、でも最近プリンタの調子がおかしいから買い換えたい」

という方を想定して、家庭用プリンタならこれ買っておけば間違いない、という今年のモデルをピックアップしました。

Canonのおすすめ 「TS8130」


Epsonのおすすめ 「EP-880AW」

Brotherのおすすめ 「DCP-J973N」

それぞれ近いスペックを選んでみました。
ではこれらのなにが違うの?ということなのですが…

プリンタ選びのポイント「写真」or「文書」?

写真なら、Epson

普段印刷するものが文書よりも写真の方が多い、ということでしたらEpsonをおすすめします。
Epsonは印刷に「顔料インク」を使わず、全て「染料インク」を使っているモデルが他社に比べて多いです。

え?「顔料」とか「染料」インクってなに?

プリンタのインクは、大きく分けて2種類あるのです。

染料」インクと、「顔料」インク。

染料インクは、例えるなら水彩絵の具。紙に染み込みやすく滲みが出て、グラデーションが綺麗に表現できるので写真向きです。

顔料インクは例えるなら油性マジック。滲みにくく、輪郭がはっきり出るので文字を印刷するのに向いています。

というわけで、普段、写真を多くプリントするという方は全て染料インクを使っているEpsonのモデルを検討して見てください。

もちろん染料インクでも文字はそれなりに読めるので年賀状の宛名くらいなら問題ないです。

写真より文書が多いなら、CanonかBrother

もしも「文書が多い」ということでしたら、カラーは「染料インク」、黒だけ「顔料インク」の両方を使い分けることができるCanonかBrotherを選びましょう。

ではこの2社はなにが違うの…?

Canonは知名度とデザイン性がウリ

Canonはまずその圧倒的知名度と安心感があります。カメラで有名ですし、カメラの性能がすごいから、きっとプリンタもすごいだろう!というイメージがあります(実際は関係ないんですけど)。

また、見た目がオシャレです!丸みがあり、洗練されていますよね。
以下は先ほどのさらに上位のモデルですが、インテリアとしてもアリなんじゃないかと思わせるデザイン性。

ただ、値段が25,000円程度と高い!このスペックでそこまで金をかける必要があるのか…?と、お客様を悩ませる値段です。

Brotherは、機能とコストのバランスが良い

先に結論を言ってしまいますが、この2社でコストと機能のバランスを考えたら個人的には今年に関しては完全にBrotherですね。

いや、意外に思うかもしれません。

「え?ブラザー?ミシンやテプラのメーカーでしょ?」というレベルの低い知名度。ウルトラマンやこじるりをイメージキャラクターにして頑張っていますが、なかなか印象が薄い。

また、見た目がすごい「オフィス感」があります。
そもそもブラザーってビジネス用途向けのプリンタシェアはすごいんですよ。そこで培ったノウハウを家庭用に活かしているせいもあってか、なんか見た目がオフィスっぽい… 正直なところ、オシャレさはあまりないです…

ただ!ビジネス用途プリンタで認められている「使いやすさ」「ランニングコストの安さ」をあますところなく家庭用プリンタに盛り込んでいるので、そこは信用できます。

そんなにすごいのに、なんでこんなに価格が違うの?ということですが、Brotherは生産ラインを絞ることによってコストダウンをしていると聞きました。

Brotherって他社と違って全然ラインアップが少ないんですね。というか大げさな話、1種類しか作ってない(電話付き機は除く)。

この基本モデルDCP-J973Nがあり、そこに

機能を減らした廉価版モデルのDCP-J572N

ファックスをつけたモデルMFC-J893N

そしてインク大容量でコスパ良いモデルDCP-J983N

これだけ。見た目、ほぼ一緒!笑
トレイの形や液晶パネルのUIなど、中身の作りもほぼ一緒。
でも逆に言うと、一番安いモデルでも、一番高いモデルと同じものが搭載されているのです。

Brotherは細かい部分の使い勝手も充実

・”ハガキ”の同時両面印刷ができる

他社も両面同時印刷はできるのですが、ハガキだけできないものもあるので要注意。これでは年賀状では使えません。BrotherならハガキもOK。

・用紙トレイに蓋がある

他社の安いモデルだと、A4紙が機体に全て納まらず、外にペロンと飛び出したままのものもあります。使うたびに必要な枚数だけセットすればいいのですが、そんな面倒なことをする人はあまりいません… 大体の場合、紙はプリンタに入れっぱなしになります。

紙がずっと外に出たままだと、湿気で紙がフニャフニャになったり、紙の上にほこりなどの異物が積もります。そういう質の悪くなった紙をそのままプリンタ内に取り込むと故障の原因になります。

Brotherならきちんと蓋がついて、紙を機体の中に収納できます。

・用紙トレイが機体にきれいに収納できる

この蓋つき用紙トレイ自体はCanonもあります。ただ僕がCanonをおすすめしない理由は、Canonは紙を収納すると、全面に出っ張りが出るのです…

 canonプリンタ、紙を収納していない状態。

用紙トレイに紙をセットした後。

機体をコンパクトにした結果、奥行きをA4紙のサイズを収納できる以上に小さくしたため、「用紙トレイだけ出っ張る」という仕上がりになっています。

これはせっかくのデザイン性が台無し… まあ、ここらへんは美的感覚の問題なので個人の好みですが…

・インク交換がわかりやすい

Canon、Epson共にそうですが、インク交換の際はプリンタの電源を入れた後、ガバッと開けて内部を露出させます。すると
「ウィーン、ガッチャン、ガッチャン…」
とヘッダが右に左に動きまくり、20秒くらいするとようやく止まってインク交換、という流れです。

Brotherなら電源を入れずとも、全面の蓋をパカっと開けるだけ。めちゃくちゃ簡単で、機械に詳しくない人でも扱いやすいデザインです。

写真は去年のモデルですが、基本的に形状は同じ。

・ADFで複数枚の書類をまとめてスキャンやコピーできる

これは他社モデルはほとんどやってない機能。ADF(オートドキュメントフィーダ)は、「自動原稿送り装置」です。こういうのも、ビジネス機が強いBrotherならではですね…!

例えば今のプリンタはほとんどスキャン機能がついていますが、スキャンしたい原稿が5枚あるとします。すると、ADFがない場合は「蓋を開ける、原稿を置く、閉める、ボタンを押す」という動作を5回やらなくてはいけません。

でもADFがあれば紙をまとめてセットして、ボタンを押せば紙を自動的に送ってくれて5枚一気にスキャンできます。

今は多くの人が書類を紙ではなく電子データにしてPC保存しているということもあり、この機能をお求めになる方が多いです。

町内会、PTA、学校からのプリントなどなど、結構日常でも書類は多いですよね。

ここまでいろいろできて、Brotherの基本モデルDCP-J973Nはなんと15,000円程度の価格!

ということで、まとめ!





今年、お手頃価格の
写真メインのプリンタなら
EpsonのEP-880

文書メインのプリンタなら
brotherのDCP-J973N

をお勧めします!

初期投資を多く出せる人へ、もう一つの選択肢

「写真メインならEpson、文書メインならCanonかBrother」とわかりやすさ優先でざっくり言いましたが、実はEpsonも顔料インクを使ったモデルはあります

エコタンク」というやつです。ネットでも話題になったことがあるので、ご存知の方も多いかもしれません。

Epsonのこの主力商品はとにかく、圧倒的にランニングコストが安い!
カラー文書はBrother、Canonが1枚8円程度なのに対して、エコタンクは1円程度というコストパフォーマンス。他社の追随を許さないレベルです。

またエコタンクの大きな特徴として、インクの形状が「ボトル」になっています。

日本のプリンタインクといえばカートリッジタイプですが、エコタンクはボトル型を採用しました。初期モデルはインク交換がしにくい、空気が入りやすいといった不具合もありましたが、新しいモデルでは改良され、使い勝手が良くなっています

インクが安い、というのがなによりも強みのエコタンク…

しかしこのEW-M770T、本体が、高い!

おすすめモデルは約7万弱します(もっと安い下位モデルもありますが、こちらは機能面でお勧めしません)。インク代が安い分、本体が高いんですね。
最近のプリンタ業界の風潮としては、インクを安く、本体を高く、という流れに変わりつつあります。

今まで「インクで儲ける」というのをやりすぎて、一般消費者に「プリンタインクは高いもの」というイメージが持たれ、プリンタ自体を使う人が少なくなってしまったらしいです。

そこでインクは安いよ!という路線で注目を浴びたのがエコタンク。
プリンタを5年使うなら、ランニングコストを考えれば決して高い買い物ではないのですが、初期投資に6万払う、となるとちょっと躊躇する人も多いのではないでしょうか。

お金に余裕がある人は、エコタンクモデルもお勧めします。

ひっじょーに長くなりましたが、以上でまとめを終わります。

もう年の瀬、早めにプリンタをネットオーダーして、週末は年賀状作業に取りかかりましょう!