Tiktokが人気だけど…大きな変革はライブ配信にあり

最近僕はツイッターのTL上でも「ライブ配信!ライブ配信!」ってうるさいので、ちょっと嫌気がさしている人もいるんじゃないかと不安になってきましたので、ここで「なぜ僕が今ライブ配信アプリにハマっているのか」について、お話します。

ショートムービーの次にくるのはライブ配信

今、Tiktokという動画アプリが流行っています。簡単に説明すると、「短い動画投稿アプリ」なのですが、これが今年(四半期Q1、ゲームを除く)アプリの総ダウンロード数で一位、月間アクティブユーザ数一億人と、バケモノレベルで普及しつつあります。

このアプリ自体は使ってみるとわかりますが本当によくできていまして、語りだすと長いのですが、今回の記事の本題はそこではないので省きます。ここで言いたいのは「Tiktok(面白ショートムービー)は今流行っているけど、もっと大きな波になるのはライブ配信」ということです。

ライブ配信の歴史をちょこっと

ライブ配信自体は特に目新しいものではありません。遡れば日本でも「ニコニコ生放送」というものがあり、一般ユーザがネットを使って自分のことを放送するプラットフォームは2008年、約10年前からあったりします。

ただ当時はまだ一部のコアなユーザのみが使うようなサービスでした。昔はPCを使った配信が一般的で、ウェブカメラなど機材を揃える必要があったのと、3Gという低い通信速度という環境だったため、参入障壁が高かったのです。

それがスマホ一台で映像、音声、編集、配信と全てできるようになり、また通信環境も速くなり視聴環境も改善しました。それにより、スマホさえ持っていれば誰でも配信できるようになり、一気に普及していくこととなりました。

特に勢いがあったのが中国で、中国ではライブ配信アプリに「投げ銭機能」をつけることにより、一気に盛り上がりました。中にはライブ配信だけで何億円も稼ぐようなユーザが表れ、それが話題になったりしたことで多くの人達がライブ配信をやるようになったのです。

TiktokはYoutubeの後を追う

Tiktokをはじめとするショートムービーは面白いのですが、これは僕はYoutubeの後を追うような感じになるのではないかと思っています。どういうことかというと、YoutubeもTiktokも「動画作成技術が高い人が勝つ」場になります。

Youtubeも始めはアップされる動画の質は本当に低くて、見るに堪えないものがほとんどでした。そんな中、「無料でアップできる」「インフルエンサーになれる」ということでユーザが増えていき、またユーザ自身もどんどん動画作成スキルが高くなり、今では一般人が作った動画も普通に楽しめるもので溢れています。Youtubeは今ではある意味安心して楽しめるコンテンツ、「整った動画が作れる人が勝てる」場所となりました。

Tiktokはそんな動画作成のプロセスをもっともっと簡易化したような場所です。昔はオリジナルコンテンツを作ることが求められ、人の動画を真似したら「パクリ」と叩かれたりしましたが、Tiktokではそもそも「人の真似をする」のを推奨するような仕組みになっているので、テキトーに人と同じ動き・ネタ編集をして、テキトーに音楽をつけるだけ。オリジナリティ溢れるアイディアがなくても簡単に動画を作成できてしまいます。

(※注:ここでいうTiktokは中国のライブ配信機能があるバージョンではなく、あくまでも日本版の”ショートムービー機能しかないTiktok”です。将来的に日本のTiktokも一般にライブ配信機能を実装するでしょう)

このYoutubeとTiktok、どちらにも共通しているのは、「短時間で飽きさせない、楽しめる動画を作る」ことです。それにはコンテンツ力、そしてそれをキレイに魅せる動画編集技術が必須です。企画、制作、脚本、出演を一人でやってのける「プロデューサー」「監督」のような存在が求められるわけですね。

こうやって「作品」として生み出されるコンテンツは今後も需要はあるでしょう。ただ、漫画や音楽、その他多くのコンテンツ産業にも言えることですが、技術革新によってこういった参入障壁はどんどん下がっていきます。簡単に企画ができるAI、簡単に製作ができる高性能アプリ、脚本や出演もバーチャルなアバター…なんて未来も近いです。コンテンツのクオリティが高くなるので消費者にとっては嬉しいですが、クリエイターにとっては競争が加熱していく分野ですね。

録画された動画とライブ配信は全く違う

では、ライブ配信はどうなのか?ライブ配信もYoutubeやTiktokと同じく、カメラの前で動画を撮影する行為なので、一見似たようなものに見えるかもしれませんが、これは僕は全く似て非なるものだと考えています。

ライブ配信は基本的に嘘がつけません。動画編集ができないので、カットしたり音楽を足したりと、じっくり時間をかけて脚色をすることがほとんどできないのです。そこだけ比較するとコンテンツ力でYoutubeやTiktokに敵わないのではないかと思うかも知れませんが、そもそもライブ配信にはそういった「整った動画」が求められていないのです。

求められる「スナックのママ」スキル!?

ライブ配信にあり、ほかの動画配信にないもの、それは「その場のコミュニケーション」です。自分が好きな人と同じ時間を共有してる感覚、話しかけたらすぐにレスポンスが返ってくる人の繋がり、その場の空気やその時に集まった人たち次第で変わってくる、予測できない展開。これは録画され、丁寧に編集された動画では決して伝えることのできない価値です。

例えてみれば、ライブ配信者は「スナックや小料理屋のママ」「バーのバーテンダー」のような存在なのです。中心にママや女将、バーテンダーがいて、その人を囲んで数人の客がゆるく会話を展開していく感じですね。

配信者にプレゼントをあげたりする感じはキャバクラやホストクラブに似ています。こういう夜の店を引き合いに出して例えるとちょっといかがわしいですが、ここは一旦そういったいかがわしい先入観を抜きにして考えてみてください。

皆がなぜキャバクラやホストクラブに何を求めて行くのか?キレイな女の子やイケメンを見たいだけならツタヤでアイドルのDVD借りてくればいいですよね、でもそういった録画映像のみでは満たされない人の欲求、それは「リアルの人と繋がっている感」なのではないでしょうか。

ということで、YoutubeやTiktokとライブ配信は同じ「動画を閲覧する」という行為でありながら、提供できる価値そのものが全然違うということがおわかりいただけたでしょうか。

“面白動画”はAIが作るようになる

では、なぜYoutubeやTiktokよりもライブ配信の方が大きな波になるのか、ということですが、僕はいわゆるこういった視聴者受けの良いショートムービー系の動画はAIによりほぼ全自動で作られていくのではないか、と考えています。

実際、既にYoutubeもTiktokも「個人の好みにカスタマイズした動画をおすすめする」という仕組みになっていますよね。Youtubeを閲覧して、右側に出てくるおすすめ動画をついクリックし続けてダラダラと動画を見てしまった、という経験は誰しもあるのではないでしょうか?

これがさらに発展すると、動画編集すらもAIがやるようになってくると予想できます。つまり、その人個人の嗜好に合わせて、面白い動画の面白い部分だけを抜いて、さらにそれに脚色までして提供する…なんてことも可能になるかもしれません。

そうなってくると、「YoutubeやTiktokは面白くて当然」の世界になります(実際そうなりつつありますよね)。当たり前のように楽しいもの簡単に得られる価値って、だんだん人は物足りなくなってくるんですよ。

例えば僕はいつもSpotifyを利用していますが、これもう洋楽聴き放題なんですよね。20年前の僕はCD1枚買うのも大変だったので、当時「洋楽聴き放題」なんてサービスがあったら夢のようでしたが、今、実際に「当たり前」になってしまうとそんなに聴きません。聴けるのが当たり前だし、今急いで聞かなくてもいいし、そもそもほかにも楽しいものもたくさんあるし…!

手に入れるのが難しい「リアルな人との繋がり」

そこで次に台頭してくるのが「瞬時にアドリブで対応する」「空気を読む」「共感できる(と思わせることができる)」というAIがまだまだニガテな分野、つまり簡単に得られない価値であるライブ配信!と読んでいます。

SF的未来の話をすれば、きっとこういった価値もいずれAIに取って代わられるのかもしれませんが、少なくともこの先10年くらいはないでしょう…

僕は「AIができることは人が頑張る必要はない」と思っているタイプなので、今後表現者・クリエイターが努力する方向性を考えるのであれば、AIができないことをやっていった方がいいですよね。

もちろん皆が皆”スナックのママ”になれ、というわけではなく、ライブ配信文化にはまだ誰も気づいてない可能性がたくさんあると思いますので、なにか表現したい人はとりあえずライブ配信を体験して、「ライブ配信×◯◯(自分の得意分野」のような形で自分の表現の幅を広げていけばいいんじゃないかなと思っています。